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ロマンティック・コメディと云えば、今も昔もアメリカ映画の十八番であります。ちょっと他国では太刀打ちできないほどの、完璧なノウハウを確立していると云えましょう。
昨今、これまたお家芸であるアクション映画に、80~90年代のエンターテインメント性が薄れ、加速度的につまらなくなっているのに比べ、相変わらずロマコメはクオリティの高い作品が安定生産され続けています。 小生は映画に関しては何でも観る雑食系ですが、唯一、ロマコメだけは得意ではありません。どうも一人で観でもいまいち楽しくないし、かと云って女の子と観るのも気恥ずかしい。完全な負のスパイラルに陥っています。よって余程のことがない限り、当ジャンルを観ることはないのですが…。 と云う訳で今回は、そんな小生でさえ大好きな、知る人ぞ知るロマコメの傑作『潮風のいたずら』(87)をご紹介致しましょう。 笑って泣ける、まさに当ジャンルの王道をいく超ハッピーな一作であります。 オレゴン州のエルク・コーブに、とある富豪夫婦の豪華クルーザーが入港する。そこで夫人のジョアナ(ゴールディ・ホーン)は、クローゼットの改修を地元大工のディーン(カート・ラッセル)に依頼。ところが、出来上がった靴入れが気に入らなかったジョアナは、料金を支払わないばかりか、ディーンを海に突き落としてしまうのであった。 そんなある夜、ジョアナが誤って船から転落するアクシデントが発生。しかも、病院に運び込まれたジョアナはショックで記憶喪失となっていた。それを知ったディーンは、しめしめと踏み倒された工賃の回収を画策。男やもめであったディーンは自らをジョアナの夫と偽り、まんまと彼女を引き取ることに成功する。そうしてジョアナに悪ガキ4人の世話を押し付け、一日25ドルと計算して一か月ほど家政婦替わりにこき使う腹であったのだが、ところがどっこい、次第にジョアナとディーン一家の間に真の家族愛が芽生えてきて…。 確かに冷静に観れば、「んなアホな!」と突っ込みどころの多い作品ではあります。 それでも、ディーン一家が引っ越してきたばかりで林の中の一軒家に住んでいると云う状況や、写真にまつわるゴタゴタ、等々、最低限のフォローは入れられており、絶妙のタイミングで観客の「?」を封殺。巧みなエピソード配置が観ている間、余計な違和感を与えません。 個人的には、ジョアナと夫の間で性生活が途絶えている旨を描写する配慮に唸らんばかり。(こうした細かい心遣いの積み重ねが、この手の映画には重要なのです) そして何と云っても、卓越したプロットの威力に誰もが魅せられましょう。 とことん嫌味な性格ブスであった金持ち女ジョアナが、今までやったことのない炊事洗濯や子供の世話に悪戦苦闘する光景にまずは大笑い! そうこうしているうちにジョアナも貧しい暮らしに慣れ、子供たちとも打ち解け、ボロ家が小綺麗になっていくのと比例して、どんどん性格が丸くなっていきます。 満ち足りた中の空虚さに苛まれていた人間が、満ち足りない中での真の幸せに気付く―。 ありきたりなプロットも、本作のような優れた語り口にかかると素直に感動できます。文字通り、娯楽映画のお手本と云えましょう。 さらに、本作においてはタイムリミットのある設定が極めて効果的です。 観客の誰もがジョアナの記憶がいつかは戻り、ディーンたちとの別れが訪れることを知っています。もちろんディーンや子供たちも期限付きの暮らしを認識しており、そのいじらしいリアクションに胸がしめつけられます。 疑似夫婦である筈が、いつしか本気で恋に落ちるディーンとジョアナの成り行きにもハラハラドキドキ! 初めから最後まで余すことなく、存分に楽しめます。 本作を観るとつくづくアメリカ製ロマコメの面白さの秘密が、練りに練られた脚本と的確な娯楽的演出と云う職人芸の賜物であることがお分かりになりましょう。 それではココで劇中、爽やかな好演を披露するキャスト陣をご紹介! 男やもめの大工、ディーンに扮するは、A級&B級アクション、シリアス・ドラマ、コメディとなんでもござれの名優カート・ラッセル。子供っぽくてワイルドなブルーカラーが、ドンピシャにはまっています。 高慢ちきな女ジョアナをチャーミングに演じたのは、コメディの女王、ゴールディ・ホーン。いつも変わらぬ太陽のような明るい笑顔に癒されます。 もともと年齢不詳の彼女ですが、本作を観ると「さすがに若いなぁ」と惚れ惚れと観ていたのですが、調べてみると、なんと本作の時点ですでに40歳をこえていました。ゴールディ・ホーン、恐るべし! ご自慢のお尻もたっぷりお目見えしますので、お楽しみに。 ちなみにカート&ゴールディは籍こそ入れていませんが、83年から長年同棲する事実上の夫婦。そんな二人の娘がケイト・ハドソンであり、母と同じ道を歩み、主にロマコメで大活躍しているのはご存じの通り。 息の合った二人の妙演を観逃がすべからず! そして、ディーンの4人の子供を演じた子役たちの素晴らしさも特筆モノ!どうしようもないイタズラ小僧共なのですが、こいつらが大いに泣かせてくれるのです。「あの人にしつけられたい!」と涙ながらに告げる彼らに胸キュン! 他、おいしいところを持っていく執事のアンドリュー役のロディ・マクドウォール(製作総指揮も兼任)、喰えないジョアナの夫役のエドワード・ハーマン、等々、脇役陣も適材適所、総じていい味を出しており、死角ナシ! 監督はゲイリー・マーシャル。本作後に『プリティ・ウーマン』(90)で特大ホームランをかっ飛ばし、以降『プリティ・ブライド』(99)、『プリティ・プリンセス』(01)とプリティ・シリーズ(邦題のみ)を手掛け、最近でも『バレンタインデー』(10)、『ニューイヤーズ・イヴ』(11)とロマコメ群像劇を連発し存在感を示す、当ジャンルの大巨匠であります。(妹のペニー・マーシャルも、『ビッグ』(88)、『レナードの朝』(90)等を手掛けるヒットメーカーであるのもスゴイ!) ロマコメが苦手な小生にとっては、正直、あまり気を惹く監督さんではありませんが、ひとつのジャンルにこだわり、なおかつ結果を残してきた御大は、もうそろそろアカデミー賞クラスの栄誉を受けても良いように思います。 コメディ同様、ロマコメも賞レースから外され軽視される傾向は依然としてあり、やはりここは是正していくべきでありましょう。 さて。 ウソがマコトとなったジョアナとディーンの恋愛は一体どういった結末を迎えるのか? ぜひご自身の眼でお確かめを。 これでもかと盛り上がるクライマックスは、もう感動の嵐! ラストのジョアナの一言が、これまた最高にシャレており、幸福な気分に包まることうけあいであります。 小生の映画的趣向はやや偏っており、漠然と「オススメの映画ない?」と聞かれると非常に困るのですが、本作だけはまさに別格。カップルはもちろんあらゆる世代、オールマイティに自信を持ってオススメ出来ます。 一言「100%おもしろい」と。 バレンタインデーにぜひどうぞ。 ※紹介しました商品が価格変更や売り切れとなっている可能性もございますのでご了承ください。
最終更新日
2012年02月06日 11時59分09秒
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