今回紹介するのは、アイランドモルトのアイル・オブ・ジュラです。ジュラ島唯一の蒸留所であるアイル・オブ・ジュラのシングルモルトは、蜂蜜のように甘くアーシーな風味が特徴的。隣のアイラ島のモルトのようなピーティさはなく、むしろハイランドモルトのような酒質をもっています。ボディは軽めですがとても濃厚なテクスチャーがあり、飲み応えがありますね。
ジュラ島はアイラ島の北東に位置し、河のように潮流の早いアイラ海峡が両島を隔てています。隣どうしの島でありながら、アイラとジュラのウイスキーのキャラクターがまるで180度違うのは面白い現象ですが、これはアイラモルトとの差別化を図るためにアイル・オブ・ジュラ蒸留所が意図的にそうしているのだそうです。ただ、近年のアイラモルト人気にあやかり、年に1か月だけはへヴィリーピーテッドの麦芽で仕込みを行うようになりました。
ジュラとは、「鹿の島」を意味するバイキングの言葉だというのが定説です。この島は人口がわずか200人であるのに対し、鹿はその30倍近い5,000~6,000頭が生息しているといわれています。鹿肉はもちろんこの島の特産で、アイル・オブ・ジュラを飲みながら鹿肉ハンバーガーをほおばるのもなかなか乙なものです。
創業は1810年。当時はスモール・アイルズという名で呼ばれ、今のハウススタイルとは異なるピーティでヘビーなウイスキーをつくっていましたが、1901年に閉鎖され取り壊されてしまいました。1963年に新オーナーが蒸留所を再建し、名をアイル・オブ・ジュラと改め、このときから軽くてピート香のないウイスキーを造り始めたのです。1978年には拡張工事が行われ、ポットスティルは2基から4基になりました。この蒸留所のポットスティルは、スコットランドでも最大級の大きさで見る者を圧倒します。高さはスコットランドで最も背の高いグレンモーレンジのものより、わずか数センチ低いだけです。
ジュラ島は、作家のジョージ・オーウェルゆかりの地としても知られていますね。彼の代表作のひとつ、小説「1984年」は2年間この島にこもり書き上げられたもの。オーウェルはジュラ島に渡る以前から結核を患っていて、「1984年」を書き上げた2年後に亡くなりました。なおこの小説に因み、1984年に蒸留したアイル・オブ・ジュラ「1984」が2003年に限定発売されています。
最終更新日
2012年02月06日 23時03分19秒